跳ね上げ式メガネを使い始めた話。
以前より黒い丸メガネ (John Lennon JL-21-100B) を愛用しているが、近頃、手元のモノを見るのにメガネを外さないと厳しくなってきた。子供の頃の記憶の中にある親戚のおじさんもまた同じ状況だったのだろう、よくメガネを外して頭にかけていた。で、俺のメガネどこいった?とおばさんに聞いては、おばさんも苦笑しながら、イヤねぇアナタ、頭!頭!なんて。
そんな人情味あふれる風景も好きだが、僕の場合は頭にメガネをかけてもなぜか下を向くと落ちてきてしまうし、そもそも妻はイヤねぇアナタなんて言ってくれるキャラではない。仕方なく、メガネを外す時には近くの机や床の上に置くことが多かったが、度々、あれ?メガネどこに置いたっけ?となる。
それで、以前から気になっていた跳ね上げ式メガネを手に入れた。これならばメガネを顔につけたまま近くのモノを見られるので、メガネ探しは半減されるんじゃないか。
購入したのはmoBiLe’n MB−611のブラック。福井県鯖江市で製作されたメガネフレーム。
最近はレンズ込みで1万円のような安価なメガネもあるが、それなりのコストをかけて作られたメガネフレームはより精度が高いし、万が一の際は部品交換だけでなく再溶接なども対応してもらえる事があるので、長く使うのであればやはり、それなりのコストをかけたフレームがおすすめ。
跳ね上げ式メガネといっても、いろんなデザインのモノがある。その中で僕がmoBiLe’n MB-611を選んだのは、デザインやサイズ感がこれまで愛用していた丸メガネ (John Lennon JL-21-100B) とほぼ一緒だったから。
もちろん、愛用していたJohn LennonシリーズにもJL1088という跳ね上げ式の丸メガネが用意されているのだが、ブリッジ部以外にもう1本リム同士を繋ぐフレーム部のあるデザインのため、これまで愛用していたメガネとは印象が大きく違ってくるので、今回は敬遠した。
moBiLe’n MB-611をJL-21-100Bと比較すると、リム上部にある跳ね上げ駆動部ができるだけリムの後ろに隠れるように設計されているが、わずかにはみ出て見えるので、この部分が少しデザインアクセントとして加わった感じ。また、上の写真ではメガネを置いた遠近の違いでサイズが大きく異なるように見えるが、JL-21-100Bが40□22−142に対して、moBiLe’n MB-611が42□25-135でサイズが近く、実際に手元で重ねてみるとほぼ同じに見える。また顔にかけた時の印象もあまり変わらず。
レンズの選択にもよるのであくまで参考だが、メガネの総重量は、HOYAの全く同じ仕様のレンズ (Cityシリーズ) を付けた状態でJL-21-100Bが15g、moBiLe’n MB-611が19g。体感でもわずかに重さの違いは感じられるがすぐに慣れる程度の差で、長時間付けても特に痛みや疲れが出ることもなかった。このへんは、チタン製でそもそも軽い事に加えて、いつもの眼鏡屋さんがきっちり自分の顔に合わせて調整してくれたこともあると思う。
僕の近視は悪い側の目で0.1を切るくらい。レンズは幅や高さが大きくなるほど厚みが増していくので、一般的な横に長いメガネをかけるとレンズの厚みが目立ち易いのだが、moBiLe’n MB-611はレンズ幅が42mmなのでレンズの厚みが目立ちにくい。僕の場合は、リムから0.5mmほどレンズがはみ出すくらいで済んでいる。もちろん薄型のレンズを選択した結果でもあるのだが、レンズの厚みが気になる人は、この点でも横長メガネに比べて相対的に丸メガネがおすすめとなるかも。もちろん、レンズが小さいと言うことはそれだけ視野にフレームが入ってくるということなので、大きなメガネを愛用してきた方は、多少の慣れが必要。
跳ね上げ式メガネにおいて、跳ね上げ駆動部は2種類の方式があるらしい。常時スプリングの圧がかかるタイプと駆動するときだけスプリングの圧力がかかるタイプ。moBiLe’n MB-611は前者のタイプ。どちらのタイプもパタンパタンと気持ちよく動くが、ヘタリや故障の点では後者の方がやや優れているが価格も高めとのこと。
全体的に丁寧な仕上げがされていて、塗装も均一で綺麗。チタンの接合部分は塗装に隠れて見えないが、軽く捻ってみても塗装が割れないということは、おそらくしっかりとロウ付けされているのだろうと思う。
moBiLe’n MB-611を使う上での注意点は、基本的には他のメガネと一緒なので難しくはない。ただし、跳ね上げ操作に関しては注意が必要で、ついつい片手で操作してしまいがちだが、それだとフレーム歪みの原因になる可能性があるためできれば両手で操作して欲しいとのこと。
あと、個人的な追加の注意点として、レンズを跳ね上げた状態でうっかりレンズをモノに当てないようにということ。レンズを跳ね上げるとレンズ部が前方方向に40mmほど出っ張る形になるのだが、ついその状態であることを忘れて動き回って、電気スタンドなんかにぶつけてしまうことがあったので。
結局は、あのとき頭上のメガネを忘れてしまった親戚のおじさんのことを、今は僕も笑うことなんてできないのである。
では、また!
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