ARCA SWISS Lブラケットクラシックユニバーサル

今回は、汎用L字ブラケットの話。

907X CFV II 50Cに専用設計されたアルカスイス (Arca Swiss) 互換のブラケットを探していたのだが、SmallRigなどのメーカーで探しても対応した製品がない。そこで、汎用のブラケットに焦点を変えて行き着いたのがARCA SWISS Lブラケットクラシックユニバーサル。(英語名:ARCA SWISS Classic L-Bracket、以下、本レポートではARCA Lブラケットと略記)

装飾のない質素な箱で送られてきた。無駄な装飾は、いらない。

説明書のほかに、カメラの三脚穴にネジを締め込むための3mm六角レンチとピンが同梱されている。ブラケット側に六角レンチを収容するスペースはないので、必要に応じて六角レンチは別で持ち歩く必要あり。

プレート (Arca Swiss互換雲台に取り付ける台座部分)にはレンズ中央位置を合わせるための白線が引いてある。また、カメラ底部が接触する部分には硬質ゴムが取り付けられており、英語版のメーカーサイトではゴムコーティングと表現されている。
反対側から。こちら側にはARCA SWISSのロゴ。

まず感じたのが、カメラと雲台を繋ぐ単なる中間部品という存在にもかかわらず、完成された工業製品に宿る雰囲気、一生モノだと確信できる信頼感が漂っていること。

全体に丁寧に処理されていて、安価な物にありがちなバリや稼働部のがたつき、オイル汚れなどなし。実はこれを買う前に安い汎用のL字ブラケットを買っていたのだが、工業製品としての出来の違い、仕上げにコストをかけているかどうかの違いは明らか。(ARCA製品が高いというより、精度良く丁寧につくると相応のコストがかかるということだと思う。)

ARCA Lブラケットの造りは非常に堅牢。別の愛機Fujifilm X-T4にはSmallRig社のX-T4用ブラケットを使っているのだが、これだと縦位置撮影の状態で雲台に取り付けた時、特に重いレンズを付けた場合において、カメラとブラケットの隙間でフワフワと揺れる状態になることがあった。が、ARCA Lブラケットではそのような揺れは感じられないほどに抑えられている。

その代わり重量は大きめ。手元にあるSmallRig社のX-T4用ブラケットが重量126g (実測)なのに対し、ARCA Lブラケットはその約2.2倍の重量280g (実測)。街でのスナップなんかを主とする方には、この重さは少し気になるかも。

ベースプレートの端部にはストラップ用の取り付け金具も設置されている。
サイドプレートにスライドロックレバー。こちらにもARCA SWISSのロゴ。
ベースプレート側から。スライドロックレバーはもちろんこちら側にも。

プレート部分は、工具は使わずともロックレバーを解除すればスライド可能。スライド動作はガタつきもなくスムーズでここにも加工精度の高さが感じ取れる。ロックを解除してスライドする時には、うっすら塗られたグリスによる程よい粘りの負荷を感じながら、気持ちよくスライドする。

スライドロックレバーは、8割くらい締め付けたところでも簡単にはズレない程度にキマり、安全のためにさらに100%まで締め込む感じで安心感がある。Arca Swissと同様に高い品質を誇っている製品としてGITZO社の三脚があるが、そのロック部分におけるスライド・締め付けイメージに感覚としては近い。

それから、ベースプレートとサイドプレートは、L字の金属棒から完全に取り外すこともできるようになっている。そして、ベースプレートとサイドプレートはそれぞれ個別に追加購入や交換が可能。

907X CFV II 50Cへの取り付けは、液晶側から見て左側にサイドプレートが来るように取り付けている。907X CFV II 50Cは左側面にUSBポートがあるのだが、ベースプレートとはオーバーラップしないので、ARCA Lブラケットを装着したまま干渉なしでUSB接続ができる状態。

しかし僕の場合は、サイドプレートとカメラ左側面の距離を大きめに20mmほど空けるようにしている。907X CFV II 50Cは目立つ突起がないので、とっさにカメラを掴むような時はちょっと滑って落としそうで怖い。なので、サイドプレートとカメラに指が入る程度の空間を設けて、カメラ本体ではなくサイドプレートを手で掴めるようにしている。

前から
斜めから
別の斜め角度から。

なお、ARCA Lブラケットは数年前にマイナーチェンジされており、以前はL字の金属棒部分が未塗装の銀色だったそうだ。銀色のレトロな感じも良さそうだが、個人的には黒塗装が好き。目立たないけど凄いヤツって感じ。

ついでに、Fujifilm X-T4およびNikon D700に装着した事例も下に載せておくので、ご参考まで。(レフをあて忘れて全体的に手前が暗くてごめんなさい)

Fujifilm X-T4に装着した例
Fujifilm X-T4に装着した例 (2)
Nikon D700に装着した例
Nikon D700に装着した例 (2)

ちなみに、Fujifilm X-T4やNikon D700も本体左側にUSB端子があり、これらのカメラではUSB端子の場所とARCA Lブラケットのサイドプレート部分がちょうどオーバーラップする位置となる。が、テザー撮影などでUSB接続する場合は、ベースプレートとサイドプレートの位置をずらせば対応できた。

Fujifilm X-T4にARCA Lブラケットを装着した状態で、Tether Tools CUC15RT-ORGを接続 (L形状側)。この状態なら縦位置でも横位置でもテザー撮影時にケーブルが雲台に干渉することはない。
Fujifilm X-T4にARCA Lブラケットを装着した状態で、Tether Tools CUC15RT-ORGを接続 (ストレート形状側)。この状態で縦位置のテザー撮影する時もまずケーブルと雲台の干渉はないと思うが、状況によってはサイドプレートのシフト量を大きくして対応できる。
Nikon D700にARCA Lブラケットを装着した状態で、汎用USBケーブルを接続。この場合、縦位置でも横位置でもテザー撮影時にケーブルが雲台と干渉することはない。

なお、前述のように各プレートは工具を使わずにレバーを解除するだけでスムーズにシフトさせることができるので、普段使いとテザー撮影時とでの切り替えもストレスがなく快適。また、横位置でのテザー撮影であれば、サイドプレートをL字の金属棒ごとベースプレートから引き抜いてしまうのもアリ。

Fujifilm X-T4にARCA Lブラケットを装着して、各プレート位置をMAX位置にしたところ。埃汚れの処理が甘くてすみません。

各プレートのMAXで使用可能な位置については、ベースプレートはベースプレート中央を基準にサイドプレート面までの距離が120mmまで、サイドプレートはサイドプレート中央を基準にベースプレート面までの距離が80mmまでとされている。これだけの可動域があるので、各社のミラーレスカメラや一眼レフカメラはもとより中判カメラまで対応できる、まさにユニバーサルなLブラケットだと思う。

最後に、ARCA Lブラケットは品質や使い勝手について非常に素晴らしい製品だが、やはり価格の高さが躊躇されるところ。しかし高価な機材であるカメラを支える重要なパーツの一つとして、また一生使えるであろうモノとして考えれば、その価値は本製品の価格以上のものに感じられるのではと思う。

では!

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この記事を書いた人

電子機器メーカーエンジニアから、一念発起して農業を学び始めたオジサン学生。マレーグマの如く土をほじくり返す毎日です。

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