データロガー設置 (藤田電機製作所 KT-255F)

理系出身の人間というものは、感覚的な判断よりもデータによる判断をするものである。

農業大学校でのプロジェクト演習では、露路だけでなくハウスも使うことができる。ハウス内の温度はアナログの温度計がぶら下がっているので、それを見れば大体の温度はわかる。大体というのは、実はその温度計はただぶら下げてあるだけなので、直射日光が当たる事による熱の影響も加味された温度表示になっているためだ。

先生曰く、毎日ハウスに入っていれば、だいたいの温度は体感でわかるようになる、とのこと。だが、僕はふとハウスの温度履歴を記録してみたくなった。ハウス内の温度は季節や日々の天気で大きく変わるが、実際にそれがどの程度なのか、データで見たくなってしまったのだ。

農業のスマート化の試みに伴って、今ではいろいろな機器が出回っている。温度計測とそれに基づいたハウスの自動開閉など、いちごやトマトのハウス栽培で用いられる事例が多いようだ。本格的に管理するのであれば、Wifiでデータを飛ばしてリアルタイムに温度をチェックできる機器が望ましいが、そのようなものは最低でも数万円で高い。僕は単純に日々の記録を取ってみたいだけなので、安価なロガーを準備することにした。

手に入れたのは、藤田電機製作所 NFC通信 温度・湿度データロガー KT-255F。

KT-255Fは温度と相対湿度を計測できて、測定精度はそれぞれ±0.3℃と±0.5%、最大記録ポイント数は16,000。最大の特徴は、スマホに専用アプリを入れることでFelica経由でデータを吸い出しできることで、これが選択のポイントとなった。また、吸い出したデータはアプリを入れた端末からWifiやメール経由で転送することもできる。(その他の細かい仕様はメーカーサイトhttps://f-log.jp/product/kt-255f/を参照)

さて、こいつを手に入れたのでさっそく温湿度を測定したいところだが、露地やハウスなど直射日光があたる場所では、日光による温度上昇も加味されてしまうので、何かこいつに覆いを設けたい。いわゆる百葉箱のようなものが必要なのだ。が、調べてみると百葉箱って、、、高い!

これから色々と出資が必要な時に、無駄なお金は使えない。本当は木材で百葉箱を自作するのが一番かっこいいのだが、あいにく時間的に余裕がないし面倒くさいので、百均の材料でナンチャッテ百葉箱を作ることにした。

百均で買ったのは、植木鉢の受け皿(2枚セット)、網目模様のペン立て、リール付きのキーホルダー、小さいスダレ。ビニールタイは元々持っていたものを使用。で、百葉箱に求められる機能は3つ。温度計への直射日光を防ぐこと、温度計周囲の空気が滞留しないこと、温度計に雨が当たらないこと。僕の場合は温湿度計をハウス内に設置するので雨の心配はないが、直射日光と空気の滞留に配慮した形にしなければいけない。

まずは1つ目の受け皿にカッターで穴を開けて。。。

いろいろ途中は省くけど、受け皿のに開けた穴にペン立てを捩じ込んで、こんな感じ↑に組み立て。ペン立ての網目模様を利用することで、直射日光の影響を抑えながらも空気の滞留を抑えられる形にした。キーホルダーにはリールが着いているので、ロガーからデータを吸い出す時も、本体を引っ張るだけで簡単にアクセス可能になるようにしてみた。でもまだこの状態では直射日光の影響を完全には防止できない。僕のイメージでは、この周りをスダレで覆って完成なのだ。

そこで、2つ目の受け皿に大きめの穴を開ける。

そして、受け皿の周囲にも小さな穴を8箇所ほど開けて、スダレを縛り付ける。これで、簡単に脱着できる追加の日除け部分は完成だ。で、こいつを最初に使った受け皿にスポっと重ねると、、、

完成!

ハウス内には、マイカ線を使ってこんな感じ↑に吊るした。先生曰く、農業における温度測定は、管理対象となる作物の高さに合わせることが基本とのこと。僕の場合は地上から50cmの場所に設置した。まぁ、ちょいと経過観察は必要だが、直射日光の防止と空気の滞留防止は狙い通り実現できているような気がする。それに、なかなかのアジアンテイストでいいんじゃない?ってことで、さっそくスマホのアプリ経由で測定条件を仕込んでおいた。

1時間おきの測定で4日間ほどログを取ってみた結果をFelica経由で吸い出してみる。アプリ画面に無事にデータが表示されたので、どうやらうまく採取できているようだ。次に、送信ボタンを押してメール経由でデータをPCに転送。

転送したデータをメーカーが提供しているPC用の専用ソフトウェアで表示すると、こんな感じ↑。ハウス内の温湿度が昼と夜で変化していることを確実に捉えてくれていると思う。専用ソフトウェアは↑のような定型のフォーマット画面しかなくて、あまり使い勝手は良くない。が、.csvデータも同時に転送してくれるので、表計算ソフトに読み込めば自分の好みに応じてグラフ作成することが可能である。

KT-255Fを選択する上での注意点は、主に2つ。1つ目は、専用アプリがAndroidとWindowsにしか用意されていないこと。Macユーザーは要注意。2つ目は、どうも専用アプリの更新が止まっていること。自分は古くて使っていなかったAndroid端末(2017年製)にインストールして問題なく使用できているが、最新のAndroid ver.で対応できるかどうかは不明である。購入を検討する方は、念の為メーカーに問い合わせした方が無難かも。

とは言え、実売1万円ちょいの価格でこれだけの機能が使えることに自分は満足である。最大16,000点のデータを記録してくれるので、1時間おきの測定であれば1年以上はデータを溜め込める。来週からいよいよメイン作物の播種を始めるので、作物の成長記録とともに温湿度も参照していこうと思う。

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この記事を書いた人

電子機器メーカーエンジニアから、一念発起して農業を学び始めたオジサン学生。マレーグマの如く土をほじくり返す毎日です。

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